イアン・ギラン・バンドの魅力は、レイ・フェンウィックのギターとジョン・ガスタフスンのベース、マーク・ナウシーフのドラムによる、そのジャズ・ロック的なアプローチだ。そしてコリン・タウンズのキーボードを加えて「プログレッシブ・ロック」としての評価も得ている。しかしイアン・ギランのボーカルはプログレ的ではなく、その対比が面白いという人もいる。
しかしイアン・ギランのボーカルは、ある意味で革命的であり、挑戦的だ。ボーカルを叫び声で表現するのは、例えばオノ・ヨーコが「fly」でみせたような「うぇぇえぇぇ」というものと似ているともいえる。その意味では、イアン・ギランのボーカルそのものが「プログレッシブ」であるといえよう。
このCDは、イアン・ギランのソロの足跡を概観するのにうってつけだ。1枚目のCD1曲目から4曲目はアルバム「Cherkazoo And Other Stories」から、5曲目から7曲目はセカンドアルバムの「クリアー・エアー・タービュランス」から、8曲目から14曲目はサードアルバム「スカラバス」から。2枚目のCD1曲目から5曲目までは「アクシデンタリー・オン・パワポーズ」、6曲目から11曲目まではアルバム「ネイキッド・サンダー」、12曲目から16曲目まではアルバム「ツールボックス」からの選曲である。
録音は元のオフィシャルアルバムどおりのもので、このCDを聴いても驚きはないが、このCDを使ってイアン・ギラン・バンドを手軽に聴くというのもありなのだろう。2005年にUnion Square Ltd.から発売されたものだ。(20070517/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)