カルト・ミュージック・コレクション CULT MUSIC COLLECTION



Electronic Music / Iannis Xenakis

e0111398_214398.jpgクセナキスの名前は学生時代から知っていた。しかし、その音楽を実際に耳にすることはなかった。しかし近年では、かなり多くの録音がCDの形で手に入るようになっている。このアルバムはクセナキスの電子音楽を集めたものである。一口に電子音楽といっても、たとえば富田勲とカールハインツ・シュトックハウゼン、スティーヴ・ライヒでは全く違う音楽であり、ヤニス・クセナキスの電子音楽も、また、違う。

このアルバムには6曲の電子音楽が収められている。いずれも実験的な色彩が極めて濃く、はたしてこれが音楽といえるのかどうかの、という境界線上にあるものである。バイオリンやピアノなど既存の楽器は、そもそも楽器そのものの音が心地よく響くように作られているため、極端にいえば楽曲になっていなくとも、楽器の音がちゃんと鳴っていれば、その音を聴くだけで楽しめるところがある。しかし電子音楽では、そうはいかない。

1曲目の「Diamorphoses」はシンセサイザーの作品。ホワイトノイズの可能性を追求したもの。2曲目「Concret PH」はスクラッチノイズを利用したもの。この曲はまさに音楽といえるのか、と思う人もいるかも知れないものだが、実はこのコンセプトはクリスチャン・フィネズ Christian Fennesz のエンドレス・サマー Endless Summer に代表される「ノイズ」と言われる音楽に開花するのである。ノイズであっても美しいものもあるのだ。3曲目の「Orient - Occident」は、東洋風の打楽器の音を主体にした曲だ。4曲目の「Bohor」は、音反射の強い空間における、残響の面白さが使われている。これはすごい。21分36秒の大作であるが、「なんだこれは」と思っている間に、いつのまにか音空間に引き込まれてしまっている。じっと心を開いていると、「時間感覚」を失ってしまいそうになる。そして突然に、最後の瞬間が訪れる。

ここまでの4曲は、1957年から1962年にかけて作曲されたもので、クセナキスの比較的初期の作品にあたる。5曲目の「Hibiki-Hana-Ma」は、「響き、花、間」であり、1970年開催の大阪万博で発表されたものだ。音の素材として鼓らしき音や笙や笛、三味線の音が使われている。あらためて聴いてみると、たいへん攻撃的な作風である。今日でも十分通じる攻撃性を持っている。当時これは360度の多チャンネル装置で再生されたようだが、当時の日本人はかなりの衝撃を受けたか、あるいは全く理解できなかったかのどちらかであるにちがいない。

最後の6曲目「S.709」も凄い。これは1992年に作曲されたもので、電子音の持つ力を極限まで試みている。

クセナキスの音楽は、聴き手に強いるものがある。これらの音楽を聴くときには、相当の覚悟が必要だ。このCDは1997年にElectronic Music Foundation Ltd.から発売されたカナダ盤だ。(20061226/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2006-12-26 02:11 | 現代音楽
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