カルト・ミュージック・コレクション CULT MUSIC COLLECTION



Eonta, Metastasis, Pithoprakta / Iannis Xenakis

e0111398_314833.jpg「メタスタシス」は1953年から1954年に作曲され、1955年のドナウエッシンゲン音楽祭でクセナキスのデビューを飾った曲である。「メタ」は「after」、「スタシス」は「fixed state」、そして「メタスタシス」は「dialectic transformation」、弁証法的な変化、対話を通じて、相互作用を通じて変化する、といった意味を持っているようだ。61のオーケストラ楽器は、極端に細分化され、61の異なるパートを演奏する。まさに、それぞれの楽器が勝手気ままに演奏しているかのようである。しかし、だからこそある瞬間に、すべての音が一つの方向に向かって進むところは圧巻である。

「エオンタ」はピアノ、2つのトランペット、3つのトロンボーンによる作品である。1963年から1964年にかけて作曲された作品で、冒頭のピアノソロなど特定の部分以外は、IBMの7090コンピュータの計算によって作られた。コンピュータで計算された、というと、冷たいイメージを持つが、実に荒々しい曲である。もちろんコンピュータを計算させるためには、ある意図をもってアルゴリズムを書くのだから、いかに作曲家の意図通りの作品が出力されるアルゴリズムを書くか、ということが課題であっただろう。この曲の、崩壊してしまいそうな危ういバランスは、コンピュータによって偶然性が適用されるアルゴリズムが与えた効果ではないかと思わせられる。ピアノは高橋悠治である。

「ピソプラクタ」は1955年から1956年に作曲された、46の弦楽器と2つのトロンボーン、シロフォン、ウッドブロックの50の楽器によるオーケストラ作品である。1957年の3月にミュンヘンで行われたムジカ・ヴィーヴァ音楽祭で初演され、その指揮をとったヘルマン・シェルヘンに捧げられている。この曲では弦楽器は、楽器の本体を手で叩くことや「コル・レーニョ」と言われる弓の棒で弦を叩く奏法、ピチカートといった極端に短い音と、グリッサンドによる長い音の、対象的な音の組み合わせを試みている。短い音が集まり、小さな昆虫が集まって巨大な群集となったような異様さがある。

このCDに収められた曲は、クセナキスの初期にあたる作品たちだ。どの曲も個性的である。ただ、これらの音楽を楽しめるかどうかは、聴き手の姿勢にかかっていると言えるかもしれない。録音は1965年に行われたもののようであるが、今聴いても全く新しさを失っていない。このCDは2001年にLU CHANT DU MONDEから発売されたもので、ドイツ盤だ。クセナキス初体験としてもお勧めである。(20070123/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-01-23 03:13 | 現代音楽
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