このアルバムには、ヴェーベルンの「弦楽四重奏曲1905」とシェーンベルクの「弦楽四重奏曲第2番」、およびベルクの「弦楽四重奏曲Op.3」の3曲が収められている。これらの曲を聴きながら、ヴェーベルンとシェーンベルク、ベルクの違いは何だろうか、などと考えていた。しかし、しばらく聴いてから思ったことは、そうではなくて、これらの曲が作曲された時代の空気というものこそ、じっくりと味わうべきなのではないか、ということである。
ヴェーベルンとベルクはともにシェーンベルクに学んだ作曲家である。演奏のマンフレッド弦楽四重奏団によると、彼ら弦楽四重奏団が最初にシェーンベルクの弦楽四重奏曲第1番を演奏したのは1989年であり、それ以来、シェーンベルクの「浄められた夜」などを演奏しながら、20世紀前半のこれら3人の作曲家について、より深く学びたいと思ったのだ、と書かれている。そしてこれら3曲を選曲したという。
最初に聴いたときにすぐ気付いたことだが、ヴェーベルンの「弦楽四重奏曲1905」にはシェーンベルクの「浄められた夜」の旋律がたくさんあらわれる。むしろ編曲である、と言ってもいいくらいである。しかしそれは単に真似をしているというのではなく、ヴェーベルンの作品としての個性があらわれた、躍動的で若々しさを感じる作品となっている。
シェーンベルクの「弦楽四重奏曲第2番」は1907年から1908年に作曲された。そしてベルクの「弦楽四重奏曲Op.3」は1909年から1910年に作曲された。これらの作品はいずれもロマン主義から無調、そして12音音楽への移りゆく過渡期のきらめくような作品たちである。
録音は2004年の6月14日から18日の間に行われた。演奏はマンフレッド弦楽四重奏団。シェーンベルクの「弦楽四重奏曲第2番」におけるソプラノはMarieke Kosterである。(20070215/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)