イアン・ギランの声は最高だ。この気持ちは、学生時代に夢中になって聴いたことに端を発しているので、間違いなく死ぬまで治らない。
ロックに限らず音楽はいろいろな楽しみ方があるが、なかでもボーカルというパートは、他の何物にも代えがたい、その人独特の個性があるので、ボーカルがどうであるか、が曲のイメージを決定するということが往々にしてある。ボーカルを味わうためにその曲を聴く、そのバンドの曲を聴く、ということが少なくない。
その意味では、俺は死ぬまでイアン・ギランを追い続けるだろう。ディープ・パープル時代のイアン・ギランもいいが、自分のバンドを持ち「ギラン」あるいは「イアン・ギラン・バンド」を名乗っていた時代が、最も脂の乗り切ったときではないだろうか、と思う。このアルバムは、その当時のライブ録音をCDのしたものだ。
録音は1979年と1980年、レディング・ロック・フェスティバルとBBCコンサートのものだと書かれている。おそらくCD1がレディング・ロック・フェスティバルで、CD2がBBCコンサートだろうと推測される。パッケージが簡素なものであり、録音に際してこれ以上の詳細はわからない。2枚組のCDで、CD1は12曲で合計60分46秒、CD2は12曲で60分09秒の録音だ。
いずれの録音も、ミキサー卓から音をとったのではなく、マイクを2本立てて生録音したようなもので、録音のクオリティは良くない。しかし会場そのもののコンディションが良いので、十分に演奏を楽しめる。いや、むしろ臨場感があって、迫力が感じられて良いともいえる。
強力なメンバーを擁して、全力疾走するイアン・ギランの雄姿がここにある。この音を聴くことができて、俺は幸せだ。(20070303/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)