カルト・ミュージック・コレクション CULT MUSIC COLLECTION



カテゴリ:パンク( 4 )


Love, Billy / DISCOUNT

e0111398_145389.jpgディスカウントのオリジナルメンバーは、ベースがJames Parker、ボーカルがAlison Mosshart、ドラムとボーカルがBill Nesper、ギターとボーカルがRyan Seagristで、1996年にファーストアルバム「Ataxia's Alright Tonight」を発表した。その後同じメンバーでセカンドアルバム「ハーフ・フリクション」を1997年に発表した後、このミニアルバムを発表した。

収められた曲は、いずれも3分前後のものが5曲。これらの曲は、英国人ミュージシャンBilly Braggの曲をカバーしたものらしい。トータル時間は15分15秒と短いが、演奏はディスカウントの魅力をよく表している。つんのめる前倒しのリズム、ごりごりと力強いベース、ざくざくとリフを刻むギター。そして幼さを感じさせるキュートなボーカル。

セカンドアルバムと比べても、このミニアルバムの曲は初心に帰ったかのような印象がある。生き生きとしたバンドらしさが感じられるのだ。たとえば3曲目「A Pict Song」のはじめにはカリッというギターかベースのシールドノイズ音があったり、4曲目「Help Save The Youth Of America」の冒頭にある笑いながらのカウントアップなど、よい意味できちんと整理されていない編集にあらわれている。

そして最も素晴らしいのは、1曲目「Accident Waiting To Happen」のアリソンのボーカルである。全くエフェクトをかけていない生々しい声。リバーブさえかけていない。息継ぎの音も聞こえてくる。まるで目の前で歌っているかのようだ。素晴らしい録音だ。またこのトラックで、アリソンのボーカリストとしての魅力と実力をあらためて感じさせてくれる。

ディスカウントはベースをTodd Rockhillに交代してサードアルバム「クラッシュ・ダイアグノスティック」を2000年に発表するのだが、カバー曲ではあるが、俺はむしろこのミニアルバムの方を評価したい。ディスカウントを少しでも評価しており、まだこのミニアルバムを聴いていないなら、ぜひ聴くべきだ。

このアルバムは1998年の2月にMorrisound Studiosで録音され、同年にFueled By Ramenから発売された。(20070514/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-05-14 00:32 | パンク

Crash Diagnostic / DISCOUNT

e0111398_21209.jpg1997年に衝撃的なファーストアルバム「Ataxia's Alright Tonight」を発表したディスカウントのサードアルバムである。ファーストアルバムにおける天衣無縫な荒々しさはディスカウントの大きな魅力だった。そしてバンドのメンバーが生き生きと演奏し、ライブの中から練り上げられた曲は魅力的だった。セカンドアルバム「Half Fiction」では落ち着いた演奏をみせてくれたが、ファーストアルバムで感じた魅力は残念ながら半減していた。

ロックバンドというものは、ひとつのマジックである。それぞれに個性的で技術のあるミュージシャンが集まっても、必ずしも素晴らしいバンドになるとは限らない。また技術的にも経験も未熟なメンバーが集まったとしても、ひとつのバンドとしてまとまったときに途方もないエネルギーを出すことがある。これがロックバンドの面白さであり、最大の魅力である。

このディスカウントの場合はどうか。ファーストアルバムの荒々しさは、テクニックよりもやりたいことが先にある傍若無人なギターと、「へたうま」と言いたいくらい幼い女性ボーカル、そして「リズムを保つ」という言葉を知らないかのように早くなったり遅くなったりするどたばたドラムが大きな魅力であった。このアルバムではベースがJames ParkerからTodd Rockhillへと変わったが、他のメンバーはファーストアルバムから同じである。確かに上手くなった。しかしバンドとしての輝きは、ファーストアルバムでみせてくれたほどの眩しさを感じない。

このアルバムが悪いと言っている訳ではない。演奏は堂々としており、まさに順風満帆の貫録である。曲もバラエティに富み、それぞれに個性的でスピード感も失われていない。特にボーカルのAlison Mosshartの成長が著しい。素人くささがなくなり、ロックシンガーの歌い方になっている。それでいてキュートな魅力はちゃんと持っている。ある意味でこのアルバムは、落ち着いてじっくりと味わうことができるものである。

残念ながらこのサードアルバムを残して解散してしまうディスカウントだが、俺たちには記録された3枚のアルバムを、気の済むまで聴く幸せが残されている。このアルバムは1999年の7月にInner Ear Studiosで録音された。(20070508/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-05-08 02:01 | パンク

Half Fiction / DISCOUNT

e0111398_1154985.jpgこのバンドを「パンク」と呼ぶことが正確かどうか自信がないが、あえて分類するとなると、やはり「パンク・ロック」なのだろう。このアルバムはディスカウントのセカンドアルバムである。メンバーはファーストアルバム「Ataxia's Alright Tonight」と同じ。ベースがJames Parker、ボーカルがAlison Mosshart、ドラムがBill Nesper、ギターがRyan Seagristだ。

ファーストアルバムに比べて明らかに音が洗練されている。はっきりと違うのはギターの音だ。ファーストアルバムでは比較的ナチュラルなディストーション・サウンドであったものが、このアルバムでは強くソリッドに歪ませた音になっている。これは好みが分かれるところだろう。ファーストアルバムの若々しい突っかかるような音が好きだ、という人も多いに違いない。

もうひとつの違いは、ファーストアルバムで荒々しく暴れまわっていたドラムと、ごりごりと弾きまくっていたベースがおとなしくまとまっていることである。ディスカウントの魅力はキュートなボーカルと曲の主導権を握るギターにあるのは間違いないが、ファーストアルバムでみせたドラムとベースの荒々しいリズムも魅力があった。だからこそバンドが一体となって演奏しているという感動があったのだが、このセカンドアルバムでは、リズムを押さえることを意識し、あえて派手なプレイを避けているように思える。

その意味ではやや物足りないところも感じるが、リズムがシンプルなだけに疾走感があり、ボーカルとギターの魅力を前面に押し出したアルバム、というかんじだ。なお付け加えると、6曲目「Pocket Bomb」、7曲目「Keith」、9曲目「Stale Laughter Fake Smile Soup」などでは暴れまわるドラムもみせてくれる。

録音は1997年の6月。Morrisound StudiosでSteve Heritageによって行われた。Additional EngineeringとしてMitchell Howellの名前がある。またアートワーク、ペインティング、ドローイング、タイピング、レイアウトのすべてをアリソンが行った、とある。このアルバムは1997年にTank Musicから発売された。(20070507/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-05-07 01:11 | パンク

Ataxia's Alright Tonight / DISCOUNT

e0111398_1413335.jpgこの素晴らしい音楽との出会いも偶然だった。たまたま通勤帰りに駅の近くの中古CD店にふらりと立ち寄ったとき、いくつかのCDを棚から取り出しながら眺めていて、このCDを手にした。ジャケットに惹かれた。いったいどんな音楽なのか全く予想がつかないまま、しかし何か感じるところがあり、このCDを手にとってレジへ向かった。そのとき、カバンの中にはCDプレイヤーもあったので、俺はこのCDを家へと向かう道でプレイヤーに放り込み、歩きながらヘッドフォンを耳に当てた。そしてプレイヤーの再生ボタンを押した。

流れてきたのは素晴らしく威勢のいいロックだった。「俺たちの音楽は正しい」と言い張るもの。まさにロックの真髄がここにあった。リズムをキープする、という言葉を忘れたかのように、曲の中でリフが変わるたびにめまぐるしく早さも変わる。前のめりのリズムにバンド全体が一体となって突っかかる。俺は常々「ファーストアルバムにバンドのスピリットが凝縮されている」と思っているのだが、まさにこのアルバムにはディスカウントというバンドの魅力が詰まっている。おそらくどの曲も、小さなクラブで繰り返し演奏され、充分に熟成されたものだろう。

分析的に聴いてみると、このアルバムには「セックス・ピストルズ」との類似性を感じる。ディスカウントというバンドは1995年にアメリカのフロリダ州で結成されたが、アメリカン・ロックではなく、ブリット・ポップの継承者なのだと断言する。録音の状態もいい。ギターやドラム、ベースが演奏する姿が目に浮かぶような録音だ。

このアルバムにおけるディスカウントのメンバーは、ベースがJames Parker、ボーカルがAlison Mosshart、ドラムとボーカルがBill Nesper、ギターとボーカルがRyan Seagristだ。ディスカウントはこの後同じメンバーでセカンドアルバム「ハーフ・フリクション」を1997年に発表した後、ベースをTodd Rockhillに交代してサードアルバム「クラッシュ・ダイアグノスティック」を2000年に発表。同2000年には解散する。(20070424/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-24 09:55 | パンク


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