カルト・ミュージック・コレクション CULT MUSIC COLLECTION



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Malice in Wonderland / PAICE ASHTON LORD

e0111398_285127.jpgディープ・パープルのドラマーであったイアン・ペイスとキーボーディストのジョン・ロード、そしてキーボーディストでありボーカリストのトニー・アシュトンによって、このアルバムは作られた。3人の名前をとって付けられたグループ名は、日本人ならば「鈴木、佐藤、山田」といった感じか。日本人ならばとてもロックバンドのグループ名には思えず、お笑いタレントのトリオみたいだ。

ディープ・パープルは他にない新しいロックを創造するという開拓者精神に満ちたバンドであったが、ここで聴かれる音楽は、ブルースやファンクの要素をふまえたもので、どちらかといえば落ち着いて聴けるものだ。ディープ・パープルのような華麗でスリリングな音楽を想像すると期待はずれかもしれない。

ボーカルをとるトニー・アシュトンはジョン・ロードの旧友であるらしい。渋い声の、いかにもブルース的なボーカリストである。トニー・アシュトンはキーボード奏者でもあるので、ペイス・アシュトン・ロードではドラム+キーボード×2という編成になる。これに加わったギタリストはバーニー・マースデンで、後にホワイトスネイクに加入することになる。なかなか味のあるギタリストだ。またベースとして加わったのはポール・マルチネスで、オーディションで選ばれたそうだ。

イアン・ペイスのドラムはリラックスしたものだし、ジョン・ロードのハモンド・オルガンも「弾きまくる」という感じではない。あえてディープ・パープルのイメージを避けた曲作りをしている。ある意味で地味なアルバムだが、だから逆にいつまでも飽きずに楽しめるものでもある。このアルバムはもともと1977年に発表された。このCDはポリドール株式会社から1990年に発売されたもので、日本語の解説も付いており、日本語訳はないが英語の歌詞も書かれている。(20070427/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-27 02:09 | ロック・アンド・ブルース

ありがとう / りんけんバンド

e0111398_145517.jpgりんけんバンドのライブを見たのはいつだっただろう。俺がりんけんバンドを知ったのは、レコードやCDなどのアルバムではなく、FMラジオやテレビの番組ではなく、中規模のライブハウスでのステージを見てだった。強烈な印象だった。またそのライブでは観客も熱狂し、何度も何度もアンコールの手拍子と足踏みを止めない。りんけんバンドもそれに応えて何度も楽屋へ引っ込んでは出てきて演奏する、ということを繰り返した。あれほどバンドと観客が一体となったコンサートは、なかなかない。りんけんバンドのメンバーも、何度もアンコールに応えて汗だくになりながら、とても充実感に満ちた顔をしていた。素晴らしいコンサートだった。

このアルバム「ありがとう」を聴いたのは、ライブハウスでのステージを見てしばらく経ってからだった。ライブハウスのダイナミックな演奏の洗礼にさらされた俺にとって、このアルバムを聴いたとき、正直に言って「拍子抜け」した感じだった。りんけんバンドの大きな魅力として、力強い野性的なリズムがある。しかしこのアルバムでは、リズムセクションを機械に頼っている。何よりも1曲目「ありがとう」の冒頭、明らかに打ち込みまるだしのジャストタイミングなシンセサイザーとドラムマシンの音は興ざめである。ライブハウスでの汗の飛び散る演奏と比べて、なんとクールなことだろう。

このアルバムはりんけんバンドにとってファーストアルバムになるが、バンドの曲をいかにも「記録した」という感じがする。もちろん「レコード」という言葉は「記録する」という意味があるのだが、このアルバムはひとつの作品というよりも、記録として保存するために作った、というように思えてしまう。もちろんタイトル曲「ありがとう」を含め、素晴らしい曲が収められているのだが、アルバムとしての完成度は残念ながら物足りない。

それにしても沖縄の言葉というものは、なぜか懐かしい響きがある。俺の母親は東北地方の生まれで、俺のルーツのひとつは東北地方にあるはずだが、東北の言葉には懐かしさをあまり感じない。しかし沖縄の言葉には不思議なくらい懐かしく感じられる。これは何故だろう。(20070426/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-26 01:46 | 日本のロック

The Best of Sweet / SWEET

e0111398_1425627.jpgスイートというバンドの知名度はそう高くはないかも知れないが、彼らのヒット曲は多くのロックファンに影響を与えたはずだ。「フォックス・オン・ザ・ラン」や「ブロックバスター」、「ヘル・レイザー」、そしてロック史上に残る名曲「アクション」。また「ロックン・ロールに恋狂い」という邦題の曲もあった。原題は「ボールルーム・ブリッツ」で直訳すると「ダンスホールの電撃」である。意訳もはなはだしいが、当時はこのような無理な邦題を付けるということも多かった。

スイートはもともと1965年、イギリスのソウルバンドであった「ウェインライツ・ジェントルメン」にさかのぼる。このバンドには後にスイートのドラマーとなるミック・タッカーとともに、ボーカリストとしてイアン・ギランがいた。彼らは小さなクラブでロック・アンド・ブルースとサイケデリックをミックスしたような曲をやっていたらしい。そして1965年にはイアン・ギランが「エピソード・シックス」に加入するために脱退し、代わりにブライアン・コノリーがボーカリストとして加入した。その後「ジ・アーミー」というバンドにいたスティーブ・プリーストが加わり、さらにゴードン・フェアマイナーというギタリストが加わって、「スイートショップ」というバンド名で1968年から活動を始めた。その後ギタリストがゴードン・フェアマイナーからフランク・トーピーに代わり、1968年に「スロー・モーション」というシングルを発表するが、このとき、同名の「スイートショップ」という名前のバンドが既にあったために、バンド名を「スイート」と変更した。アンディ・スコットが参加するのはもう少し後、1970年のことである。

スイートの曲は学生時代に良く聴いた。学生時代にはアルバムを買うお金も少なく、スイートは友達からレコードを借りて聴き、アルバムを買うことはなかったが、シングルレコードは何枚か買った。そのシングルレコードの中で、B面に「メデューサ」という曲があった。この曲は、このCDの解説の東ひさゆき氏によると、アメリカや日本で発売されたシングル「アクション」のB面の曲であり、もともとは「Are You Coming to See Me」というタイトルであったらしい。それをレコード化する際に歌詞やアレンジを手直しして「メデューサ」とした、と書かれている。この曲はアルバムには未収録であり、またスイートのどのベスト盤にも収録されていない。俺が知っている限りでは、唯一この日本盤CD「Burrn!presents」にのみ収録されている。その意味で、このCDは貴重である。

スイートの活動は以外に長く、「スイート」の名前で1991年まで活動したようだ。またそれ以降も「アンディ・スコッツ・スイート」という名前で現在も活動しているらしい。しかし彼らの全盛期は1976年のアルバム「ギブ・アス・ア・ウインク」である。以後は音楽シーンの変化に戸惑いながら迷走したと言っても過言ではないだろう。このベストCDからも、彼らの絶頂期のエネルギーと、それ以降のものが違うことがよくわかる。(20070425/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-25 12:34 | グラムロック

Ataxia's Alright Tonight / DISCOUNT

e0111398_1413335.jpgこの素晴らしい音楽との出会いも偶然だった。たまたま通勤帰りに駅の近くの中古CD店にふらりと立ち寄ったとき、いくつかのCDを棚から取り出しながら眺めていて、このCDを手にした。ジャケットに惹かれた。いったいどんな音楽なのか全く予想がつかないまま、しかし何か感じるところがあり、このCDを手にとってレジへ向かった。そのとき、カバンの中にはCDプレイヤーもあったので、俺はこのCDを家へと向かう道でプレイヤーに放り込み、歩きながらヘッドフォンを耳に当てた。そしてプレイヤーの再生ボタンを押した。

流れてきたのは素晴らしく威勢のいいロックだった。「俺たちの音楽は正しい」と言い張るもの。まさにロックの真髄がここにあった。リズムをキープする、という言葉を忘れたかのように、曲の中でリフが変わるたびにめまぐるしく早さも変わる。前のめりのリズムにバンド全体が一体となって突っかかる。俺は常々「ファーストアルバムにバンドのスピリットが凝縮されている」と思っているのだが、まさにこのアルバムにはディスカウントというバンドの魅力が詰まっている。おそらくどの曲も、小さなクラブで繰り返し演奏され、充分に熟成されたものだろう。

分析的に聴いてみると、このアルバムには「セックス・ピストルズ」との類似性を感じる。ディスカウントというバンドは1995年にアメリカのフロリダ州で結成されたが、アメリカン・ロックではなく、ブリット・ポップの継承者なのだと断言する。録音の状態もいい。ギターやドラム、ベースが演奏する姿が目に浮かぶような録音だ。

このアルバムにおけるディスカウントのメンバーは、ベースがJames Parker、ボーカルがAlison Mosshart、ドラムとボーカルがBill Nesper、ギターとボーカルがRyan Seagristだ。ディスカウントはこの後同じメンバーでセカンドアルバム「ハーフ・フリクション」を1997年に発表した後、ベースをTodd Rockhillに交代してサードアルバム「クラッシュ・ダイアグノスティック」を2000年に発表。同2000年には解散する。(20070424/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-24 09:55 | パンク

Second Edition / PUBLIC IMAGE LTD

e0111398_1401046.jpg華麗なテクニックがある訳ではない。暴力的な攻撃性が感じられる訳でもない。しかしパブリック・イメージ・リミティッドの音楽には、他の何物にも代えられない魅力がある。おそらくその理由のひとつは、ジョン・ライドンのボーカルにあるのだろう。もうひとつの理由は、ジャー・ウォーブルのベースだろう。

このもたついたリズム感はなんだろう。この単純すぎるほどの構成はなんだろう。もしかしたら自意識過剰な学生バンドの練習風景を録音したかとも思われても仕方がないかもしれない。しかしここには得体の知れない魅力がある。リズム感とか演奏技術とか曲の構成とか、そのようなあらゆる音楽技法を超越したところの魅力だ。しかしもちろん実際は周到に計算しつくされた音楽であるのだが、その計算されたところを感じさせないところが凄いのだ。

このアルバムはもともとパブリック・イメージ・リミティッドのセカンドアルバムで、45回転の12インチLP3枚を金属ケースに入れて発売され「Metal Box」と呼ばれたものだった。12インチつまり直径30cmのLPレコードと同じでありながら回転数をLPの33回転ではなく45回転にしたのは、その方が単位時間あたりの記録溝が長くとれるからで、音の再現性が良くなることが期待でき、とりわけ高音の再現性は改善されるだろう。この「Metal Box」を33回転のLPにして2枚組で発売されたものがこの「セカンド・エディション」である。

BGM的に聞き流したのではこのアルバムの凄さは伝わらないだろう。2007年という今になって聴いても、新鮮さを失っていないことに驚く。このアルバムが当初「Metal Box」として発売されたのは1979年。「セカンド・エディション」として発売されたのは1980年であったようだ。このCDには「1979年」のクレジットがある。ワーナーブラザーズから発売された米盤のCDだ。(20070423/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-23 00:55 | ポストパンク

The Rotters' Club / HATFIELD AND THE NORTH

e0111398_2242648.jpgハットフィールド・アンド・ザ・ノースというグループのことを知ったのは学生時代に読んだプログレッシブ・ロック関係の雑誌からで、そこではこのアルバム「ロッターズ・クラブ」が絶賛されていたのを覚えている。しかし当時はレコードの時代で、輸入盤も今のように入手しやすい環境ではなかった。いつかは聴きたいものだと思いながら時が過ぎ、その間にファーストアルバム「ハットフィールド・アンド・ザ・ノース」を聴くことができた。当時ビクター音楽産業株式会社がVirginレーベルのプログレッシブ・ロックを日本で紹介する先駆的な企画を行っており、このアルバムは日本盤として発売されていたからだ。少し話はそれるが、このシリーズには「ヘンリー・カウ」や「スラップ・ハッピー」をはじめ、日本では噂しか入らなかったグループの偉大なアルバムが並んでいた。このシリーズが一部の日本のロックファンに与えた影響は極めて大きかったといえる。

そして結局俺がこの「ロッターズ・クラブ」を聴いたのは、ロック・シーンがパンクやニュー・ウェイブに覆われてしまった頃だった。どちらかといえば破壊的なエネルギーに満ちあふれたロックに興味の中心があった俺には、この「ロッターズ・クラブ」は物足りないものに思えた。逆説的ではあるが、その大きな理由として、アルバム一曲目の「シェアー・イット」の秀逸さにある。イントロなしに一拍目から突然始まる曲は「ロッターズ・クラブ」すなわち「ろくでなしクラブ」のことを歌う、ジャズ的な要素とポップさをあわせもった素晴らしい曲だ。そして印象的なシンセサイザーによるキーボードソロ。この約41秒のソロを俺は何回繰り返して聴いただろう。

だが2曲目以降はどちらかといえばジャズの影響の濃い曲ばかりだ。そして6曲目「フィッター・ストーク・ハズ・ア・バス」や7曲目「ディドゥント・マター・エニーウェイ」、9曲目「マンプス」の気だるいボーカル。この落差が若かりし当時の俺にはピンと来なかった。そこで俺はこのアルバムを、1曲目の「シェアー・イット」ばかり繰り返し聴くということになった。もちろん、もう少し年齢を重ね、ジャズの面白さがわかるようになり、他の「カンタベリー派」と呼ばれる音楽を聴くようになってからは、このアルバムを聴く俺の姿勢も変わっていった。

しかし名曲「シェアー・イット」に続く2曲目「ラウンギング・ゼア・トライング」の冒頭をリードするフィル・ミラーのギターは、フレージングの豊かさは素晴らしいものの、いくつものミスピッキングがある。そしてまたこの部分はギターの音がクリアなことと伴奏が薄いことで、ミスがたいへんよく目立つ。まさかこの録音がワンテイクで録られたものではないと思うが、ギターのパートだけでもやり直そうとは思わなかったのだろうか。それとも数ある録音テイクのうち、これが一番よかったのだろうか。または録り直す時間がなかったのだろうか。気になるところだ。

改めて聴き直すと、キング・クリムゾンの手法を真似たところがあることに気付く。たとえば4曲目の「カオス・アット・ザ・グリージー・スプーン」でのワウを効かせたベースは後期クリムゾンのジャン・ウェットンがやっていたし、5曲目「ザ・イエス・ノー・インターリュード」でのギターソロはロバート・フリップに似た手法である。それにもかかわらずクリムゾンのような攻撃性を感じさせないのは、ピップ・パイルのジャズ的なドラムにあるのだろう。

このアルバムに関して、ひとつ気になるところは、6曲目「フィッター・ストーク・ハズ・ア・バス」の中盤から入る男声スキャットである。これがロバート・ワイアットの声に良く似ているのだ。CDのライナーにはロバート・ワイアットの名前はない。しかし前作「ハットフィールド・アンド・ザ・ノース」には参加していたので、もしかしたらノー・クレジットで参加していたのかも知れない。ただしここでのスキャットは明瞭ではないので、聴いただけの印象でロバート・ワイアットだと断言することは俺にはできない。

「ザ・ロッターズ・クラブ」というこの素晴らしいアルバムを作り上げたハットフィールド・アンド・ザ・ノースのメンバーは、ギターがフィル・ミラー(Phil Miller)、ドラムスとパーカッションがピップ・パイル(Pip Pyle)、ベースとボーカルがリチャード・シンクレア(Richard Sinclair)、オルガンとエレクトリックピアノそしてトーン・ジェネレイターズがデイブ・ステュワート(Dave Stewart)である。ゲストとして、フルートとソプラノサックスおよびテナーサックスでジミー・ヘイスティングス(Jimmy Hastings)、フレンチ・ホルンでモント・キャンペル(Mont Campell)、オーボエとバスーンでリンゼイ・クーパー(Lindsay Cooper)、クラリネットでティム・ホグキンソン(Tim Hodgkinson)、そして「and the very wonderful Northettes」としてバーバラ・ガスキン(Barbara Gaskin)、アマンダ・パーソンズ(Amanda Parsons)、アン・ローゼンタル(Ann Rosenthal)の名前がある。当時のバンド間の親交の深さがあらわれている。

このアルバムは1975年にレコードで発表され、このCDはCaroline Record Inc.から発売された。オリジナルアルバムのトラックに加えて、「(ビッグ)ジョン・ウェイン・ソックス・サイコロジー・オン・ザ・ロウ」と「カオス・アット・ザ・グリージー・スプーン」の別テイク、「Halfway Between Heaven and Earth」、「Oh, Len's Nature!」、「Lying and Gracing」の5トラックがボーナストラックとして加えられている。「Halfway Between Heaven and Earth」はクールなスピード感のある曲で、ブランドXかソフト・マシーンなどがやりそうな雰囲気がある。「Oh, Len's Nature!」はカンタベリー派らしくないヘビーな曲。後期クリムゾンを彷彿させる。「Lying and Gracing」はソロプレイを主体にしたインストゥルメンタル曲で、これもブランドX的。ライブ録音のようだ。レコードを持っているアルバムはできるだけCDを買わないようにしているのだが、これはボーナストラック聴きたさに買ってしまった。(20070420/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-20 02:24 | プログレッシブ・ロック

More Live Nektar in New York / NEKTAR

e0111398_28917.jpgネクターというバンドは、もっと注目されても良いのにと思う。このアルバムや「ライブ・イン・ニュー・ヨーク」を聴いても、高い演奏力を持っており、充実したステージをしてくれるようだし、何よりもスタジオアルバムのトータル性、完成度の高さがすごい。このライブでも、俺の大好きなアルバム「ダウン・トゥ・アース」から「Astral Man」や「Show Me the Way」そして「That's Life」のエキサイティングな演奏を聴かせてくれる。

そして聴きどころは「Remember the Future」のパート1とパート2である。パート1が14分06秒、パート2が8分19秒。ドラマ性の高い複雑な構成の壮大な曲を、合計22分25秒。息をつかせず演奏する。この2つのトラックを聴くだけでも、このライブ録音の価値がある。「ダウン・トゥ・アース」も「リサイクルド」も素晴らしいが、やはり「リメンバー・ザ・フューチャー」はネクターの代表曲だ。

ただ一点、ネクターに物足りないところがあるとすると、それはスター・ソロイストの不在である。たとえばギタリスト、あるいはボーカリストには、カリスマ性の感じられないところがある。逆にいえば、ドラムやベースのリズムセクションと、スタンドプレイではなくバンド全体のまとまりに魅力があるのであるが、やはりロック・バンドには花形プレイヤーがあったほうがいい。

他には「Fidgety Queenn」と「King of Twillight」、そしてアルバム「リサイクルド」からの「Marvelous Moses」「It's All Over Now」が演奏されている。全9曲、67分33秒。ネクターの世界を味わいつくせる。そしてやはりここは、「ライブ・イン・ニュー・ヨーク」とあわせてセットで聴くのが正しい姿勢であろう。

「ライブ・イン・ニュー・ヨーク」同様スリーブは解説らしきものはなく、曲名を書いただけの簡素なものだ。もともとレコードは1978年に発売されたもののようだ。このCDはBELLVER musicから1991年に発売されたものだ。ドイツ盤である。(20070406/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-06 02:08 | プログレッシブ・ロック

Live in New York / NEKTAR

e0111398_122390.jpg日常会話の中で「ネクターが好き」といえば、間違いなく不二家の清涼飲料水のことを指すだろう。しかしどうやら「ネクター」という商品は、不二家の専売特許ではないらしい。おまけに「不二家ネクター」も製造か販売をサッポロ飲料がしているということなので、話は簡単ではない。しかしもちろんこの「カルト・ミュージック・コレクション」で「ネクター」といったときは、飲料ではなくロックバンドの名前を意味している。

「ネクター」というバンドを好きで聴いている人はどれくらいいるのだろうか。俺が「ネクター」というバンドのことを知ったのは、学生時代のロック雑誌の付録であった、プログレッシブ・ロック特集の小冊子によってである。その雑誌にはアルバム「リメンバー・ザ・フューチャー」のことが紹介されていたが、当時日本盤では発売されたいなかったはずだし、輸入盤を取り扱う店でも見当たらず、どうにかして聴きたくて悶々としていた記憶がある。しばらくレコード店を探し歩いて、アルバム「ダウン・トゥ・アース」を見つけた。これが俺の「ネクター」初体験である。

そして名盤といえる完成度の高いアルバム「リサイクルド」を聴くことができたし、期待していた「リメンバー・ザ・フューチャー」にも出会うことができた。「リメンバー・ザ・フューチャー」はもちろん良いアルバムだったが、それよりも「リサイクルド」や「ダウン・トゥ・アース」の完成度に強く感動を受けた。そしてこの「ライブ・イン・ニュー・ヨーク」も聴くことができた。

だがネクターの音楽はプログレッシブ・ロックというには多少無理がある。プログレッシブな部分も持っているのだが、ネクターの音楽を貫いているのは、ただ良質のエンターテインメントなロックだ、ということである。目を三角にして聴くような難解さはない。しかし安易なポップスではない。たいへんに味わい深いロックだ。

このライブに収録されているのは「It's All Over Now」「Good Day」「A Day in The Life of a Preacher」「Desolation Valley」「That's Life」「Show Me the Way」「King of Twilight」「Woman」「Good Ol' Rock'n Roll」の9曲だ。もともとアナログレコードでは2枚になっていた。「It's All Over Now」はアルバム「リサイクルド」から、「That's Life」と「Show Me the Way」はアルバム「ダウン・トゥ・アース」からの曲である。

スリーブは解説らしきものはなく、曲名を書いただけの簡素なものだ。もともとレコードは1977年に発売されたが、このCDはBELLVER musicから1991年に発売されたものだ。(20070405/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-05 01:02 | プログレッシブ・ロック

Greatest Hits Live in Concert / Ian Gillan

e0111398_6524342.jpgはじめてこのCDを手にしたとき、実はあまり期待できないと思った。スリーブはいかにもファン向けといった安易なデザインであり、しかも紙一枚だけで詳細が全くわからない。だいたい「グレーテスト・ヒッツ」というタイトルが怪しい。ところが聴いてみると、これはたいへん良いライブ録音の記録だった。

録音の質は、オフィシャルアルバムにできるほどではないが、かなり良いできである。ミキシング卓のライン撮りではないが、ポータブルレコーダーでこっそりと録音したものではなく、おそらくちゃんとマイクを立てて撮ったものと思われる。会場のサイズはかなり大きめで、ホールの残響などが自然な感じで入っている。

「スモーク・オン・ザ・ウォーター」、「チャイルド・イン・タイム」、「ウマン・フロム・トーキョー」というディープ・パープル時代の名曲から始まり、「クリアー・エアー・タービュランス」、「フューチャー・ショック」、「マネー・レンダー」、「アンチェイン・ユア・ブレイン」、「テイク・ア・ホールド・オブ・ユアセルフ」、「ツイン・エクゾーステッド」、「ローラー」、「オン・ザ・ロックス」、「スリーピング・オン・ザ・ジョブ」、「ルーシール」、そして「パープル・スカイ」と全部で14曲、67分のライブが楽しめる。

演奏はたいへん安定したもので、まさに王者の風格を感じさせる。逆に遊びの部分が少なく、手慣れたクールな演奏という感じがする。この録音に関しては、ただ「Recorded live at the Reading Rock Festival(BBC in concert) in 1979 & 1980」とだけ書かれている。両年のレディング・フェスティバルから良いものを集めたものだろうか。しかしいくつかのトラックは、どうやらライブ録音ではないものも混じっており、やや怪しいところもある。

ジャケットのイアン・ギランはとてもかっこいい。Autarc Media GmbHのライセンス下で、EURO TRENDから発売されたものだ。(20070404/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-04 06:53 | ハードロック

Live Yubin Chokin Hall, Hiroshima 1977 / Ian Gillan Band

e0111398_441793.jpg「Ray Fenwick Archive Recordings」というものらしい。イアン・ギラン・バンドの1977年の日本公演における、広島郵便貯金ホールでのライブ録音だ。メンバーは第一期。ギターがレイ・フェンウィック、ベースがジョン・ガスタフスン、ドラムがマーク・ナウシーフ、キーボードがコリン・タウンズ、そしてボーカルがイアン・ギランという、俺の大好きなラインナップの演奏だ。

しかし残念ながら録音は良くない。おそらくカセットレコーダーで録音したものだろう。アナログの磁気テープが伸びた、典型的な音のこもり、うねりが冒頭の「マネー・レンダー」で耳につく。ディジタル時代の人間には、もう、この磁気テープのこもる音は理解できないのかもしれない。一般にこのような音の劣化は、テープの末端でよくおこる。この録音でも冒頭の音のこもりは次第に変なうねり感となり、曲の中間部分を超えたところでようやく収まってくる。また次の「ツイン・エクゾーステッド」ではかなり改善されているが、3曲目の「チャイルド・イン・タイム」になると、テープを裏返して端に戻ったためか、またもや激しく劣化した音になる。

4曲目の「ファット・ユア・ゲーム」以降、名曲「マイ・ベイビー・ラブズ・ミー」、そして「トライング・トゥ。ゲット・トゥ・ユー」、「マーキュリー・ハイ」、「ロック・ロール・メドレー」をはさんで最後は「ウーマン・フロム・トーキョー」まで、比較的音の状態は良い。しかしあくまでもコンパクト・カセットで録音したような音だ、という範囲の状態である。その意味では、このCDはまるで海賊盤のようなのだ。そして音の状態が悪いというだけでなく、イアン・ギランのボーカルも、あまり良いとはいえない。コンディションがあまり良くなかったのだろうか。

とはいえ、このアルバムが聴くに耐えないものかといえば、そんなことはない。このライブアルバムで感じるのは、バンドが成熟し、心地よい一体感を持っていることだ。レイ・フェンウィックのギターは、ハードロックとしては異色のものだといえるが、たいへん心地よくドライブしている。マーク・ナウシーフとジョン・ガスタフスンによる曲の根底を支えるリズムもスリリングだ。

もちろんこのアルバムは、イアン・ギラン・バンドを代表するアルバムではない。あくまでも熱烈なファンのためのディスクである。16ページにわたる、来日時のリラックスしたバンドのメンバーの写真などを載せたブックレットも、嬉しい。このCDは2001年にAngel Air Recordsから発売された、オーストリア盤だ。(20070403/yoc/カルト・ミュージック・コレクション)
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by cultmusic | 2007-04-03 04:41 | ハードロック


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